ソフトボールではなぜ連投が可能なのか?

2018/08/11
連投

 現在、東京オリンピックの種目に復帰した、ソフトボールの世界大会が日本で行われています。今日も、米億と事実上の決勝戦があります。金メダルを取った時もそうでしたが、エースの上野投手は、38歳であるにもかかわらず、連投・連投で、大活躍しています。しかし、このような連投は、高校野球ならいざ知らず、プロ野球では全く考えられないことです。

 このことについてインターネットに質問した人がいて、誰かがそれにお耐えています。
「野球とソフトボールの差?女子ソフトボールチームの投手は、連続2日間3試合を400球投げて金メダルを獲りました。かたや、野球チームの投手の投球数は2桁くらいで交替してる、なぜ、こんなに差があるのでしょうか?」

 これに対する回答が以下です。

「野球の投手は肩で投げるのですが、ソフトボールはの投手は腕で投げるといわれます。
野球でも昔、金田投手は300球投げたことがあります。
ソフトボールは腕で投げることで連投ができるのだと思います。」

 この回答者は、不親切です。これだけでは、大部分の人は、何のことやら分からないと思います。その説明がないということは、この回答者も、おそらくは分かっていないと思います。だから「といわれます」という伝聞形にしたのでしょう。

 そこで、私が解説することにします。野球もソフトボールも投球のはじめは、身体の後ろに大きく腕を振り上げる点では、一勝です。しかし、その後の軌道はそれぞれ真逆になります。

 野球の方は、そこから肩の力で肘を前に振り出すとともに、その肘を支点として、手先を振り回す勢いでボールに力を込めて発射します。この動作の解析から云えることは、野球の投球動作は、肩の筋肉のみならず腕の筋肉をも、酷使する形になっている、ということです。その中で、一番しわ寄せが溜まるのが、肘の靭帯だということです。だから、肘の靭帯を故障して、手術をする者が後を絶たないのです。

 これに対して、ソフトボールの方は、大きくて重いソフトボールの重力を利用して、さらに振り子運動の遠心力をも使う形になっているので、省エネで、かつ負担の少ない投球動作なのです。だから、連投が可能であるばかりでなく、故障も少ないのです。たとえば、野球で一番故障しやすい肘は、ソフトボールでは全く使わないのですから、故障のしようがありません。

 つまり、ソフトボールの投球動作の本質は、振り子運動だということです。スワイショウという気功の運動がありますが、これも振り子運動です。ですから、いくら長時間やっても、全然疲れないのです。