ストレスの凝りをほぐす過程で出てきた側頭部と肩甲骨の緊密な関係

2018/05/18
胆経

 ストレスの凝りは、スジが癒着しやすくなっているので、とても厄介で、元に戻すのに大変時間がかかります。それが、どれだけ大変かを、患者さん自身の言葉で語ってくれているものがありますので、紹介しましょう。

「全身怠くて重かったのが、治療を始めて、部分的なコリが移動するように感じるようになり、背中、肩、手足、右胸、左腰などが入れ替わりで辛く感じ、最近は右肩と背中と頭痛が主で、時々、頭皮の硬さが気になることがありました。頭が痛くなるのとコリが強くなるのは同時に起こります。今週は疲れてきて頭が痛くなってきて目を閉じると、ソファで一時間ほどうたた寝していた…ということが度々ありました。。。」

 そしてある時の治療で次のような体験がありました。
「側頭部の鍼が、右肩にダイレクトに効いたのは、刺激も強かったし!びっくりでした。右の側頭部に鍼を打った時に、同時に、いつも気になっている右肩が引っ張っられる痛みが強く出て!治療の後、(これまでの治療より)肩の硬さが楽になりました。」

 さらに、その後の様子を、次のように語ってくれました。
「3日ほど経って、また、右肩が辛くなってきて頭も痛くなるので、自分でせっせと側頭部を中心に頭のマッサージをして、背中を押すと、辛さが軽減します。右側の側頭部には、触れると痛くて、柔らかいシコリがあり、皮膚も凸凹があります。頭頂部のコリは自覚がありましたが、側頭部がこんなに硬かったとは!!顎の動きも悪いので、納得ですが、これほど症状があったとは、新たな発見です。」

 この側頭部と肩甲骨との特別な関係は、経絡で考えるとよく分かります。経絡というのは人間が二歩足で直立して、手で道具を使うようになってから、徐々に出来上がったものです。ですから、経絡の走行は、丁度そういう身体の使い方の力学線上に分布しています。

 したがって、直立するときに使う経絡は、足の前面を通る<胃経>と、後面を通る<膀胱経>と、その中間にあって側面を通る<胆経>が、互いに協力しあって直立しているわけです。その場合の中枢に位置するのが<胆経>で、これが側頭部に分布しているわけです。

 そして、ここから、道具を使うための経絡が、腕の方に降りていくことになります。それが、人差し指に降りていく<大腸経>と、薬指に降りていく<三焦経>と、小指に降りていく<小腸経>です。

 問題は、腕の筋肉の土台をなすのは<肩甲骨>だということです。ですから<側頭部>から降りた各経絡は、一旦<肩甲骨>を経由してから腕の方に流れていくのです。だから、<側頭部>と<肩甲骨>は、とても密接な関係にあるわけです。