門脈のあたりが硬くなっている人が意外に多い

2018/02/01
門脈

 以前は腹部については、その外縁である健康腺を整えるだけで、腹部を直接施術することはありませんでした。しかし、背中側からほぐそうとしてもなかなかほぐれなかった凝りが、お腹側からやると楽に取れたという経験から、お腹への直接の施術もメニューに加えるようになりました。

 そうやってほとんどの患者さんのお腹を治療するようになって、ある時、右側に偏って肝臓の下あたりにまで伸びる縦線状のものがが硬くなっているケースが、意外に多いことに気が付きました。このスジはいったいなんだ?という疑問をもって調べたところ、どうお門脈ではないかという気がしてきました。

 門脈は静脈ですが、消化器官が吸収した栄養分のほとんどすべてを集めて肝臓に運んで、そこで処理してもらうためのものですから、肝臓のはたらきと密接な関係をもつ血管です。極端な例を言えば、肝臓が肝硬変になってほとんど処理できなくなると、門脈の中は大渋滞を起こしあふれかえって、行き場のなくなった血液が食道の静脈などのつながっている他の静脈に逆流して、その内の壁の薄いところに溜まって、ため池のような状態になります。これがいわゆる門脈圧亢進による他の静脈にできる静脈瘤です。そうなったら大変です。

 ですから、門脈が硬くなっていることは、肝臓の働きが悪くなっている予兆としてとらえて注意する必要があります。実際、病院で肝臓が悪いという検査結果の出た方の門脈も硬くなっていました。しかし、これまでのところ、硬くなっていたケースは例外なく、お腹の治療によって消えています。これは門脈の周りのスジが硬くなっているところを施術すると、それが肝臓そのものへの信号となって、肝臓も頑張りだすとともに、硬くなっていた血管の周りのスジも凝りを解いてらかくなって、目立っていた縦のスジが消えていったのだろうと思います。