Nスぺ人体の腸があたかも全身の免疫を司っている説への疑問

2018/01/14
腸

 新しい事実が発見されてそこから導き出された説を、すぐにそれ真理としてしまうと、大きな誤りを犯してしまうことになります。必ず、一般論・本質論からの否定という洗礼を潜り抜けなければなりませんが。それが真の学問の取るべき手続きです。そういう意味で、今見たNHKスペシャル「人体」の腸が免疫を司っている説も、否定的に検証してみたいと思います。

 まず結論的に腸があたかも全身の免疫系を統括しているかのようなNHKの説は、早計であり誤りです。現象だけ見るとそう思ってしまうのは無理もないことですが、本質から見ますとそれは部分だけ見て全体と勘違いしているのです。

 というのは、外界の物質を取り入れる器官である気管や腸管に多くの免疫細胞が配置され、しかも実際の標本というべき菌やウィルスが大量に存在している場所に訓練学校というべき胸腺やパウエル板が存在するのは当たり前のことです。しかし、そこが直ちに全体の司令本部となるかといえば、組織論的に言ってもあり得ません。

 骨髄で免疫細胞が創られて、その多くは気管系や腸関係に配備されそこで実戦的な兵士に仕立てられて、一人前の免疫細胞になって働くという一連の流れを統括する司令本部は、交感神経幹になります。ところがそれには全く触れようともしません。それは、このNスぺが脳―神経系からの統括を受けずに、勝手に各臓器が働いているというスタンスで進めようとしているからです。意図的にそういう面を見ないようにして無視しているからです。

 だから、なぜ、免疫細胞がくるって暴走してしまうかを説くことができないのです。結果として、それを抑える免疫細胞が造られなくなるから、暴走するようになるという何とも本末転倒な論理になってしまうのです。