「カカボラジ全記録」のポーターの疲労回復法の意味するものは何か?

2017/10/06
ポーター

 昨日の記事の中で私は、「NHKBS1の「『幻の山カカボラジ全記録』の中で、荷物を担ぐポーターたちのマカロンという疲労回復法が、お湯を入れた熱い缶で皮膚を擦るというものでした。これは相当痛く皮膚が真っ赤になりますが、とてもよく効くそうです。これは、交感神経の異常を見事に整えて筋肉の披露を回復させる素晴らしい方法です。このことは、回復モードも、じつは交感神経が担っているものであることを示していると思います。」と述べておきました。

 なぜ、この問題を取り上げたのかと言いますと、それは、常識として流布している<交感神経ー副交感神経拮抗的支配説>が、事実から離れてどんどん拡大解釈されて、副交感神経が疲労回復を担当する神経であるかのような誤った情報が、インターネット上で氾濫してしまっている現実があることへの、反論・反証・警鐘の意味を込めて述べたのです。

 疲労がたまるというのは、ありていに言えば、生命活動の場が汚れて活動が鈍くなることです。つまり、恒常性が乱れることを意味します。ところで、その恒常性を維持するために働いているのは何でしょうか?そうです<交感神経ー副腎系>が中心となってそのシステムが動いているのです。つまり、どういうことかと言いますと、活発な運動の際にその運動の継続のために恒常性を維持してくれているのが、この<交感神経ー副腎系>ですが、それだけでなく、その運動による環境の汚れを取って回復できるように働いているのも<交感神経ー副腎系>だ、ということです。そのことをものの見事に証明してくれているのが、カカボラジ登山隊のミャンマー人のポーターたちの疲労回復法だったからです。

 ですから、副交感神経が疲労回復の神経だというのは間違いなのです。副交感神経は、その実態が腸管の筋肉の運動を統括する神経であって、身体全体の疲労の回復に直接関与するものではないのです。実際、副交感神経が分布しているのは内臓だけであって、骨や筋肉などの運動器官系には分布していないのです。これで一体どうやって副交感神経は疲労回復のために働けるのでしょうか?

 ところが、交感神経と反対の働きをする神経と思われて、副交感神経という誤った名前がつけられただけでなく、交感神経が闘争や逃走時の活発な運動の神経だから、その反対は休息・疲労回復の神経だろうという事実にもとづかない働きが勝手な妄想で作られたてしまったのです。

  疲労を回復するために最もしなければならないことは<交感神経ー副腎系>を元気にしてやることです。そうすれば、<交感神経ー副腎系>が体中の細胞が疲労を回復するのに必要な環境の整備を行ってくれて、スムーズに疲労が回復されるのです。