とても珍しく難しい例も、やはり最後は交感神経幹だった

2017/08/30
頸動脈洞

 この例は、とても珍しい上に人に説明するのも大変な厄介な例なのですが、何とかやってみます。左の耳の下、顎から横首の上部から左後頭部にかけて、シビレや局所的発作的に筋肉が丸く締め付けるように収縮する現象が見られたり、これまで聞いたことがないような症状を訴える人。聞いてみると小さいころ不思議な体験をしたそうです。朝トイレに起きようと首を上げたとたん、急に頭がボウーとなって力が抜けたのですが、体のほうは力が入ったので手で頭を支えながらなんとか用を足したのだそうです。

 この話と、今の症状とを突き合わせてみますと、異常な凝りのある位置がちょうど頸動脈同のある位置なので、おそらく小さいころの体験は、頸動脈同反射が起きて脳が虚血状態になったために起きた現象どろうと考えられます。

 頸動脈洞反射というのは、脳に血が行き過ぎないように血管の壁に強い圧がかかると血圧を下げて脳への血流を減らそうとする反射です。この方は、その頸動脈洞に近接するところに何らかの異常なスジの凝りができていたために、首を曲げたときに血管壁に異常な圧がかかることになって、頸動脈洞反射が起きてしまったのだろうと考えられます。そして、話によるとどうやら、その後もその異常な凝りが根っこのようにその場所に居座って、時々悪さをしていたようです。

 そして今回の場合も、そこから広がってあまり見られないようなひどい状態になってしまった、と思われます。そして、一回目・二回目とその首の異常なシコリを鍼でほぐしたのですが、なかなか芯まではとりきれませんでした。ですから、軽くはなってもどうしても症状が残ってしまっていました。

 そこで三回目は、交感神経幹の周りから鍼でほぐしていくことにしました。すると、それまでどうしても取り切れなかった首の異常なシコリの芯が、とれたではありませんか!あぁやっぱり最後は交感神経幹だな、と改めて思いました。