恐るべき交通塩の後遺症ー腸が帯脈より下に押し籠められる

2018/06/03
事故

 レントゲンで診ると、胃がへその下まで下がっていると遺書から言われたという方。一般にそういう状態は胃下垂と云われますが、そういう方は、痩せて腹部に力がない方が多いのですが、この方はそういう感じではなく、週一回は必ずジムでトレーニングしているそうですので、腹膜の緊張がないために腸が下がっているとは考えにくいと思います。

 よく診ると、左足太ももの外側が異様にこわばっています。聞いてみると、高校生のころ交通事故にあって太ももの骨を広範囲に骨折したので、その後遺症だということでした。私は、これを聞いてすぐに、これが大本だと閃きました。

 というのは、ダメージを受けた胆経という身体の側面を通る経絡の性格からしてそういうことがあり得そうに思えたからです。一般には、そんなことがあるのか、にわかには信じられないと思いますが、漢方の考え方によれば、少陽胆経の少陽というのは、半表半裏あるいは枢といって、表(体表・骨格筋)と裏(内臓)の中間にあって両者をつなぐものとされておりますので、内臓とりわけ腹膜と密接な関係があるのです。

 実際、この方の場合は、下腹部が腹満で盛り上がり、胃下垂のような虚ではなく、硬くて実の状態になっておりました。その一方で上腹部は中身がなくこちらこそ虚の状態でした。

 どうしてそうなるのかと云いますと、身体の側面を通る胆経のスジのネットワークの中の、骨盤にかかる太ももの側面というとても需要な部分が、交通事故による負傷によって大きなダメージを受けその後遺症が残っている状態ですので、左側の胆経のスジのネットワークは、縮んでしまって、それが、その分枝と云える、帯脈という、おへその下をぐるっと回っている帯脈のスジをも引きつらせて、腸をおへおsの下に閉じ込めてしまう原因になっていると考えられるからです。

 異常の診断の下に行った治療は、鍼でこわばった太ももの横の胆経をほぐし、健康腺で腹膜の癒着を取って、腹部の直接を直接押して硬くなっていた下腹部をほぐして全体を鳴らしました。すると、下腹部の腹満的な盛り上がりがひっこんで、平均的な腹部になりました。

 こういうこともあるのですね!初めてのケースで、大変勉強になりました!