なぜ大谷選手の打撃は、崩されても普通の選手のように崩れないのか?

2018/05/17
崩れ

 大谷選手がバーランダー投手から3三振を喫したことは、長嶋選手が村山投手から4三振喰らったことや、イチロー選手がペドロ・マルチネス投手から4三振喰らったことを彷彿させられます。つまり、偉大な選手の証だということです。そのことはバーランダー投手も認めていて、「将来、孫に、おじいちゃんの2500三振目の三振は、あのスーパースターからとったんだぞ、と自慢したい」と嬉しそうに述べていたそうです。

 さて、大谷選手は、本当は4三振を喰っていたはずでしたが、それを喰らわなかったところに、大谷選手の凄さが光ります。というのは、バーランダー投手の回転数の高いホップする速球に翻弄されながらも、決め球として投じられた、それまで一度も投げられていなかった初めての球種であったチェンジアップに、崩されながらも完全に崩されずに、バットに当ててセカンドごろになりました。普通のバッターであれば、空振りしていたはずです。

 大谷選手の打撃の見事な適応力の秘密は、ここにあります。それは、土台ー軸構造が見事に技化しているということです。これが、細い大谷選手が、筋肉もりもりの体力のあるメジャー選手を軽く超えてボールが遠くに飛ぶ秘訣なのです。つまり、大谷選手は、体力でなく技で打っているのです。だから、軽く振っているように見えても、ボールは遠く飛ぶのです。これは、私が軽く触れているだけのように見えて。患者さんの方は奥の方にズ~ンと圧が響くのと同じことです。

 じつは、元ヤンキースの四番のアレックスロドリゲス選手が、大谷選手の打撃を見て、「他のメジャーの選手が高校生レベルに見える」と云ったその中身は、これなのです。技というものは、本来、常人がとてもできないと思えるようなことが、普通にできるようになったものを云います。

 ですから、大谷選手が、バーランダー投手に見事にタイミングを外され、これは絶対バットが出てしまうなと思われた場面で、寸前でバットを止めて、そこから頭の上にバットを逃がしながら、クルっと一回転するというアクロバッティングな身のこなしができるのも、完全に技化された土台ー軸構造のなせる技だと思います。あんな芸当これまで見たことありませんでした。ファンタスティック!!