画竜点睛のつもりが点曇になってしまった苦い体験

2018/05/08
息苦しい

 肩があまりにも凝りすぎて、首も回りにくくなってしまったという方。触ってみると肩甲骨の上がガチガチに固まっていたので、これは鍼でほぐしやすくしておかないと苦労させられるな、と思ってその肩の上のスジの塊に、鍼をしてから治療をはじめました。

 この方について、以前、私は、胃薬を飲んでも治らず医者に行ってもも原因が分からなかった、という得体のしれない腹痛が背中の凝りをほぐしたらとれた、という体験を報告したことがあります。その経験から、この方のスジは非常に硬いので要注意だぞ、との警戒感から、まず鍼をしてから治療を始めたのです。

 腹痛の方は、前回の治療以来、おきていないということでしたが、案外すんなりと凝りが取れていったのですが、背中の凝りの方は、以前のように何本も硬いスジができていたので、これは要注意の状態でしたよと言って、最後に、座位で首の付け根に<画竜点睛>の鍼をして治療を終えました。この時、鍼の感触が硬かったので、通常はすぐに抜くところを、少し何回かアタックを試みました。それが、<点睛>ところか反って<点曇>になってしまうことになろうとは、この時は思いもよらないことでした。

 着替え終わってきたときに、その方の様子がおかしかったので聞いてみると、首に乗っかんていたものが、ストンと落ちてこのあたりが硬くなって苦しいというので、急遽、そのあたりをほぐしながら、「互いにけん制し合いながらバランスを取っている状態で、片方が消えるともう一方の方に凝りが集中してしまう場合があるのですよ」という説明をしました。とりあえずその硬くなっていた部分が柔らかくなったので、お帰り頂いたのですが、その後が大変だったようです。

 その夜に電話があって、聞いたところによると、胸がほぐされると、さらに下がってみぞおちのあたりが苦しくなって、息がしにくくなったのだそうです。電話で様子を聞きながらいろいろアドバイスをしましたが、足の中指の両側の水かきをつまむと気持ちがよく少し楽になっていくようでしたので、とりあえずそれを試してもらうことにして、翌日の調整の治療をすることにしました。

 翌日の調整の治療では、みぞおちの下の左側の肋骨の脇にシコッたスジの小さな塊ができていたので、それをほぐし、背中の背骨の左わきのスジがピ~ンと細く張っていた中で横隔膜と関係がる部分が一番硬くなっていたので、そこをしっかりとほぐしました。

 すると、楽に呼吸ができるようになりました。とほっとした様子でした。これを見て、冷や汗をかいていた私の方が、ほっと一安心いたしました(ホッ)