広尾の背板の備忘録:取れ難かった手の痛みがなぜ取れたか?

2018/05/03
胆経

 たまにしかいらっしゃらない方が、そんなに日をおかずにいらしたので、どうしたのかなと思って聞いてみると、前回治療した手がまだ痛むと云う事でした。前回は、患部を良くやってたしかにほぐれて、もう大丈夫だとの感触を得ていたので、どうして取れなかったのだろう?といろいろ頭を巡らしながら、治療をはじめましたが、ふとこれは頭からやるべきではないか?との直感が働いて、アタマの治療から始めてみました。

 すると、患側の耳の周りに輪になって盛り上がっている凝りを見つけました。これだ!という直感が働いて、そこを念入りにほぐした後、痛む手の幹部を診てみると、皮膚の状態が先ほどのようなこわばった感じから、皮膚が緩んで通常の皮膚のような感じにもおっていたので、これはいけると確信しました。

そこで、耳の周りの盛り上がりの原因とみられる足の胆経と手の三焦経・大腸経・肺経をしっかりとほぐしますと、治療の途中で痛みが取れたとの患者さんの報告がありました。

 そこで、この耳の周りの盛り上がりが、なぜ手の痛みに関係するかについて解説しますと、人間は、四つ足から直立二足歩行に変えることによって、経絡が形成されることになりましたが、その経絡は、二本足で直立して手で道具を使うための陽軽の経絡から発達していきました。

 それが、直立するための足の三陽経が耳の周りにいったん集合して、そこから道具を使うための手の陽軽に降りていくという流れです。つまり、耳の周りはそのための中継点になっているということです。今回はそれが盛り上がっていたために、手先の遊びがなくなって手の痛みが生じていたということです。