たけしの家庭の医学の脊柱管狭窄症によるめまいの構造を説く

2018/04/25
カート

 昨日の、たけしの家庭の医学でやっていた、名医が、他の先生が「異常なし」としてめまいの原因を特定できなかった、難しいめまいを見事に治してみせたエピソードをやっていました。まずその原因を特定に到るプロセスがとても興味深く大変参考になりました。ただ、どうしてめまいが起きるのか、についての説明が不足していたように思いました。

 原因を特定するに至るプロセスで感心したのは、いろいろな検査をしても異常が見つからず、壁に突き当たった時にその名医がとった行動です。それはどういう行動かと云いますと、めまいが起きない時はどういう時か、という逆転の発想からくる問いかけでした。それで明らかになったことは、スーパーのショッピングカートにつかまって歩く時や、娘さんの手につかまって歩く時はめまいになることはないということでした。また、プールの中での歩行の時も、めまいは起きないと云う事でした。

 そこからその名医は、ある病気を想定して次の二つの検査をしました。それは、小脳の異常によるめまいを疑って行った、じっと立っていられるかの検査に異常がないことはすでに確認済みでしたが、その同じ検査を、今度は目をつむってもできるか検査してみたところ、立っていられませんでした。

 次に、もう一つの検査として、振動させて音叉をくるぶしに当ててその感覚があるかどうか試したところ、その感覚が全くないという結果でした、ここからその名医が下した診断は、脊柱管狭窄症でした。それを確かめるために行ったMRI検査でも脊柱管が圧迫されて狭くなっている事実が確認されて、その診断が確定された、それに基づく治療でめまいが出なくなって元気に暮らせるようになったというハッピーエンドでした。

 さて、問題は、なぜめまいが起きるのかというメカニズムについての説明が、十分になされていなかったことです。治ったのだからそれでいいじゃないかと思う人もあると思いますが、治療に携わる者として、そこが分かっていないと、実際の治療の現場で無駄な試行錯誤をしなければならなくなりますので、知っておく必要があります。

 これらの事実を総合して言えることは、そのフワフワしためまいは、小脳によって引き起こされるものですが、小脳自体の異常によって引き起こされたものではなく、その機能、つまり、いろいろな情報をもとに体の姿勢およびその運動を安定的非保持する働きが、情報不足によってうまく行えないことによる、一種のパニック状態に陥って起きるものと推定されます。

 フワフワした不安定感もそのことを示しておりますし、目をあけている時は立っていられるのに目を閉じると立っていられなくなるということもそのことを示しています。ショッピングカートにつかまったり、娘さんにつかまっている時にはめまいがおきないのも、同様にそれによって身体を安定的に保持できることが確認できるからだと思われます。