肌やスジは、適度な弾力性と張りが必要です。ところが、時にフニャッとして張りがなく、したがって抵抗が感じられなくて、実に頼りなく心もとない感じがする人がいます。こういう人は、全体で協調して支えられないために、一本のスジにだけ負担がかかってしまって、フニャッとしている中に一本細くて硬いスジができている、ということが良くあります。こうなったスジは、とてもほぐれにくいものです。
そういう方を、何とかほぐして、あとで楽になったと伝え聞いていましたが、その後来院された時に触ってみてビックリしました。スジの弾力性が出てきて、あのフニャッとした感じがなくなっていたからです。ただその日は、鼻がグズグズしてとても調子悪そうでした。そこで背中を診てみますと、背骨の右側だけが硬くなっていました、そこで良く骨の周りを調べてみますと、背中の真ん中付近の骨の周りが異常に虚している一点がありましたので、そこに一本鍼しました。
すると、アっという間に左右のアンバランスが消えて、スジに運動性と弾力性が出てきました。さらに、それ以後は、鼻のグズグズもピタリと止んで、嘘のように楽に整えることができました。
ただ、このアンバランスを整える前に、肌やスジのネットワークに、以前にはなかった張りや弾力性を確認しておりましたので、前の治療で、それは大部分整っていたと考えられます。ただ、奥にあったその骨の一点の虚だけが、取り切れずに残ってしまっていたのだと思います。