突然の吐き下しの原因は? 直中の正体-

2018/01/13
直中

 ある患者さんがとても具合が悪そうな顔をして治療室に入ってきたので、「どうしたの?」と聞くと、昨日突然吐き下しをして今とても頭が痛いということでした。予約をした時点ではそういう症状は起きていなかったので、まさに突然のハプニングです。特に思い当たることはなく強いて言えば、その前に左の腰が痛かったとのことでした。

  腹診をしてみると、胃点と肺点に異常が見つかりましたので、これは、漢方でいうところの「直中(じきちゅう)」といって風邪がいきなり胃に入ったものであろう、と予想して説明してその治療に取りかかりました。想像通り肺点の異常を取ると肝点の異常が出てきたので、この症状のベースに肝臓の機能の低下があると得意げに説明しながら肝の活点を取って腹診してみると、胃点がまだ残っておりましたので、胃の活点を取ってももう取れただろうと腹診すると、取れていませんでした。

  おかしいな活点は、たしかに取ったのにどうしたのか?と健康腺を調べてみますと、股関節の異常がはっきり出ておりましたので、これは腰に問題があるそう言えば前兆として腰の痛みがあったといっていたな、と気づいて腰の治療に取りかかると左の仙腸関節の周囲と胃の裏と頭が一体となって非常に頑固に固まっていました。これだったのかと真の原因が分かって徹底的にほぐしました。腰をいくらやってもほぐれず頭と腰を同時にやり続けて頭がほぐれはじめると腰の方も一緒にほぐれました。

  これで取れたであろうと腹診してみると、思ったほどすっきりしておらす、聞くと左の頭と左半身はすっきりしたものの、右側の頭の痛みが残っているとのことでしたので、右側もしっかりと取ってようやく完全に腹診も頭の痛みと取れました。

  こういう症状は初めてだったので、貴重な体験となりました。 この経験から言えることは、直中というのは同じ風邪でも、上気道炎のような感染症を併発したものではなく、凝りによって腸管の粘膜に行く交感神経の異常をきたしたもので、それが吐き下しを起こし、その治療はそれをもたらしたスジのネットワークの異常を治すことだという結論に至りました。