広尾の天珠整体、糖尿病と脾経の関係がはっきり分かった症例

2017/10/29
脾経

 自分の意志で糖尿病になって、自分の身体でその治し方を研究しているという、凄い人を治療させてもらいました。私にはとてもそこまでの情熱はありませんから、敬意をこめて治療させてもらいました。その思いが通じたのか、とても興味深い体験をすることができました。腹部を指圧している時に、経絡の太陰脾経と思われるスジが一条はっきりと認められました。しかも、それが明らかに足の脾経の流れを連動性がありましたので、そこに鍼をしました。

 すると、その鍼が強烈だったせいか、腹部の緊張が強くなってしまいましたので、中脘穴という神経の集まっているツボに細い鍼を刺したまま、足の脾経に沿ってほぐしていきましたところ、腹部の状態が見違えるようによくなりました、スジが弾力性を帯びて全体が一体となって運動するようになって、脾経の一条のスジも見事に消えていました。背中を診ると、膵臓の裏や、<交感神経ー副腎系>にも反応が出ておりましたので、そこにも鍼をしておきました。

 ところで、なぜ糖尿病の時に経絡の太陰脾経に異常が現れるのかと言いますと、じつは臓腑経絡でいうと脾経は膵臓の経絡なのです。こう言うと、えっ、脾臓の経絡ではないの?と思われるかもしれませんが、これにはちょっとした手違いがあって、このようなややこしいことになってしまったのです。

 その手違いというのは、江戸時代にオランダから西洋医学が伝わり解剖の本も入ってきましたが、それを翻訳するに際して、それまでの漢方の概念ではその実体がはっきりしないので、特別に許可をもらって罪人の腑分けをして確定しようということになって、臓腑の器官の命名・確定が行われたのです。その際に、本来漢方の脾は膵臓を現すものだったのですが、膵臓は分かり難かったものですから、その周辺の器官らしい形がはっきりしていた器官に、脾臓を言う名前を当てはめたのです。それが現在私たちが認識している脾臓です。

 後でその間違いが判明したのですが、もう後の祭りで、やむなく本来脾臓とすべきだった器官に、新たに膵臓という名前を創って命名したという経緯があるのです。ですから、糖尿病で膵臓に異常が生じると脾経にその異常が現れるというわけです。