右目が痛むという方。こめかみから耳の周りにかけて盛り上がって硬くなっていて、右目のまぶたも少し腫れてブヨっとした感じになっていました。治療の名人だった大師匠の野中豪策先生は、「治は遠でごわす!」と仰っていましたが、これは直接患部をやるのではなく遠くのツボをもって治せという意味です。まさに治未病の格言ですが、これにしたがってやったところ、ものの見事にこの右目の異常な痛みを治すことができました。
具体的にどう治療したのかと言いますと、耳の周りが非常に凝っておりましたので、これは先ず足の胆経のスジのネットワークからほぐしていくべきだなと考えて、眼から遠い足から治療をはじめました。
というのは、この足の胆経は眼のツボが多くある目と関係の深い経絡で、しかも、ちょうどこの症例に特徴的に見られた、耳の周り凝りの部分を巡っているからです。実際足の胆経の末端の足の部分を治療してみると、案の定非常に凝っていて痛みも相当強かったようです。特に腓骨と言って足のすねの外側の細い骨の周りがとても硬くなっていましたので、それを良い状態になるまで徹底的にほぐしました。
その手ごたえを充分に感じて、再び頭の部分を診てみますと、耳の周りの硬い筋の盛り上がりがなくなって、嘘のように激変して、とても良い状態になっておりました。と同時に右目だけにあった腫れも消えておりました。そして、当然訴えていた右目の痛みもなくなっていました。
やはり胆経は目と関係の深い経絡なのだなということを改めて実感させられた症例でした。