私がドン・キホーテの心境で本を書いた理由

2017/08/19
ドン・キホーテ

 一介の鍼灸・整体師に過ぎない私が、皆が正しいと信じている現代医学の常識を、真っ向から批判することは、個人的には何の得もありません。むしろ、営業的には皆から変なことを言うと敬遠されて大いなるマイナスにしかなりません。これから、もっと実害が出てくるかもしれません。にもかかわらず、ドン・キホーテよろしく風車小屋ならぬ常識という巨大な岩盤に、自らの手製の鉾一丁で、跳ね返されるのを承知で挑んでいくのは、本気でこの硬い岩盤のおかげで日本の将来が危惧されるからです。

 この常識は世界共通の常識だから、日本だけということはないだろう、と思われるかもしれませんが、そうではないのです。日本人は外国の人に比べて几帳面すぎるので、清潔が文化の証とみるとそれを徹底して、赤ちゃんを菌から遠ざけようとします。こういうことが、身体の安全を守る要となって、精神をも支えている大事な交感神経を、弱弱しく育てていくことになってしまうのです。だから、熱中症や食物アレルギーの根本原因が、この交感神経の弱さにあることが分からずに、放置されたまま何の対策も施されないでいるのです。

 また、身体の防衛のための国境警備、すなわち皮膚。粘膜の統括、外敵や癌などの不良分子から体を守る軍事・警察、すなわち免疫システムの一元的統括、市民生活を守るための物流環境の維持管理、すなわち心・血管・肝・腎・肺をを駆使しての循環系の維持・統括、というとても重要で複雑な仕事を一手に行いつつ、気まぐれなご主人様である感情・心に合わせて、たとえば、恥ずかしいと思ったらサッと頬を赤らめたり、気持ちが沈鬱になると血流が鈍化して血液がドロドロ状になるというように統括しているのも交感神経なのです。ですから、このように感情によって直接・関節に振り回されて、神経の中で最も異常化しやすいのは他ならぬ交感神経なのです。

 だからこそ、交感神経は手厚く扱われなければならないのに、異常化して悪い影響を及ぼしてしまうことが多い、という理由で悪者にされ、だから副交感神経を優位にする必要があるといった見当違いの誤った思い込みが蔓延して、問題の解決を妨げているのです。交感神経の異常は、副交感神経を優位にすれば直るかと言えば、残念ながらそれは期待できません。

 交感神経の異常は、交感神経を直接治す以外ないのです。天珠療法は、そういう目的意識のもとに治療しているので、他で治せない難しい症例にも対応できるのです。いつかそういうことが分かってもらえる日が来ることを信じて、ドン・キホーテしています。